<産経抄>ブレすぎる首相、今まで夢と理想語ればよかったが… 2024/11/2 05:00
- 羅夢 諸星
- 2024年11月6日
- 読了時間: 2分
平成6年に首相になると、それまでの自衛隊違憲論を翻し合憲論を唱えた旧社会党出身の村山富市元首相は著書、『そうじゃのう…』で理由を説明している。「政治がどう受けとめるかと考えた場合、『自衛隊が憲法違反だ』と言って、論外という扱いをしたんじゃ政治にならない」。
▼この姿勢について、政治学者の岩田温さんが月刊正論12月号でこう喝破している。「現実的には不可能な政策を嘯(うそぶ)いてきたのだ」。岩田さんは、すぐには衆院解散はしないと述べていた石破茂首相が就任前の9月30日、突如として解散を表明した瞬間に村山氏のことを思い出したという。
▼確かに首相は、年来の政策であり、自民党総裁選時に主張したアジア版NATOも日米地位協定の改定も引っ込めている。いわゆる不記載議員らを衆院選で公認するかしないかも二転三転し、金融政策の見直し(利上げ)も取り下げた。反対していたリニア中央新幹線は推進派となった。
▼責任ある地位に就いたため現実路線に修正したといえば聞こえはいいが、あまりに言行不一致がすぎる。長年にわたり党内野党の立場にいたため、これまでは政府の方針を批判するか夢と理想を語っていればよかったのだろう。いざ首相となった途端、自身の過去の言動に足をすくわれている。
▼あまり言葉の振幅が大きいと、国民の首相への疑念は軽蔑へと変わる。政治思想家、
マキャベリはいう。
「君主は人に恨みを買ったり軽蔑されたりするのを避けなければならない」。
恨みについては、二重に処罰された不記載議員から既に買っているのでもう仕方がない。
▼7日の党両院議員懇談会では、首相に退陣を迫る意見も出ると予想される。そこで首相が何を語るか注目したい。
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