(ひと)桃井希生さん 北海道警によるヤジ排除を憲法違反と訴え、勝訴した 2024年10月10日 5時00分
- 羅夢 諸星
- 2024年10月13日
- 読了時間: 2分
言葉は頭に浮かんでいる。だけど、思うように口が動かない。小学5年生で突然、吃音(きつおん)の症状が出た。
特に苦しかったのは教科書の音読だ。教室に沈黙が流れる。その頃に母親が亡くなり、学校を休みがちになった。
東京の実家を離れて北海道大学へ進んだが、人間関係に悩んで休学した。「吃音で話せない自分が悪い、なんでこんな自分なんだと思っていた」
孤独のなかで出会った一冊がある。横塚晃一の「母よ!殺すな」。脳性まひ者として、障害児を殺した母親に同情する世論を真正面から批判し、健全者の心に潜む障害者差別を糾弾していた。
そうか、私の生きづらさは社会に原因があったのか。人生に「天変地異」が起きた。
2019年の参院選。札幌駅前で安倍晋三首相が街頭演説をした。目の前で男性がヤジを飛ばし、北海道警の警察官に連れて行かれる。見ているだけでは後悔すると思い、勇気を振り絞った。「増税反対!」。警察官に取り囲まれた。
いま、1人でも入れる労働組合「札幌地域労組」の書記次長として、困り事を抱えた労働者を支援している。不公正を放置せず、連帯して声を上げる。はやく、ゆっくり。身近なところから社会を変えていく。(文・写真 上保晃平)
*
ももいきお(29歳)
Comments