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(天声人語)アサド政権の崩壊 2024年12月10日 5時00分

  • 執筆者の写真: 羅夢 諸星
    羅夢 諸星
  • 2024年12月10日
  • 読了時間: 2分

 内戦下のシリアで2016年に、ある夫婦が新しい命を授かった。娘の名はサマ。一家が暮らす都市アレッポはアサド政権軍に包囲され、がれきと化す。かつて民主化運動に携わった母は、死と背中あわせの日常をビデオに記録する。ドキュメンタリー映画「娘は戦場で生まれた」である



▼砲撃の下、うす暗い地下で娘をあやす父は、何度も「いないいないばあ」をする。サマはけらけらと笑う。爆音がしても普通の子のようには泣かない。それが私はつらい、と母は悲しむ


▼独裁政権の弾圧をくぐり抜けてきた老人たちは路上でチェスに興じ、子どもたちは黒焦げのバスで運転手ごっこをする。当たり前の暮らしを続けることが彼らの「抵抗」なのだろう。だが包囲網は狭まり、一家も最後のタイミングをついて街を脱出する。レンズを見つめるサマのまん丸な瞳が印象に残る


▼シリアの長く暗い時代が終わりを告げると言って、果たしていいのだろうか。アレッポが反体制派によって奪還されて、わずか8日後。アサド大統領がロシアに亡命した。国民の犠牲のうえに礎があった楼閣は、驚くほどあっという間に崩れ落ちた


▼これから、どんな国がつくられるのか。民族や宗教が複雑に入り交じる地域をまとめてゆくのは容易ではなかろう。それでも、シリアの人々が歩む道は、自由に向かっていると信じたい


▼娘の名前のサマとは、現地の言葉で「空」を意味するという。爆音ではなく、小鳥のさえずりが響く空を、シリアの上に。



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